猫が目の前で痙攣を起こしたら…驚いてパニックになってしまうことがよくあります。ある日突然、何の予兆もなく起こるなんて、びっくりしても無理はありません。
では痙攣はなぜ起きるのでしょうか。また、どんな病気が考えられるのでしょうか。今回は猫に起こる痙攣についてのお話です。
痙攣とは
痙攣とは、意思とは関係なく、筋肉が強く収縮する発作です。脳の大脳皮質に何らかの障害が起こることによって発生し、脳が過剰に興奮している状態です。
痙攣の原因
てんかん、脳炎、脳腫瘍、脳梗塞など、脳自体に障害があり起こるものと、代謝性疾患、血液の異常、中毒など脳以外に障害があり起こるものがあります。
対処法
痙攣が起こっている時は、猫が怪我をしないように周囲にあるぶつかると危ない物などはよけ、落ち着くまでそっと見守ってください。
この時、発作が始まった時間とおさまった時間を記録し、可能であれば発作の様子を動画撮影しておくと、後に獣医師に説明する際、とても参考になります。
また、発作中は顔や口元を絶対に触らないでください。発作中は無意識なので咬まれるととても危険です。
多くの場合、発作は5分程でおさまりますが、それ以降も発作が続く、すぐにおさまっても何度も群発する、発作後ぐったりしているなどの症状がある場合は緊急を要するのですぐに病院へ連れて行ってください。
痙攣を起こす主な病気
てんかん
てんかんには検査しても異常が無く原因が特定されない特発性てんかんと、ウィルス感染症や脳炎、脳腫瘍などが原因となる症候性てんかんがあり、犬で多い特発性てんかんは猫ではあまり起こりません。
てんかん発作は意識を喪失し、全身の強直や痙攣を起こす全般発作と、意識はある状態で前肢だけなど、部分的に痙攣を起こしたり、感覚の異常、チック(顔の一部がピクピクするを)が見られたりする焦点性発作などがある。
尿毒症・腎不全
腎機能の低下や、尿路閉塞などにより、老廃物が体外にうまく排泄されなくなることによって起こります。痙攣以外に食欲低下、体重減少、嘔吐などの症状が見られます。
15才以上の猫の30%が慢性腎臓病と言われているので、定期的な尿検査やエコーなどによる検診を受けましょう。
熱中症
急激な体温の上昇によって発症し、パンティング、よだれ、嘔吐、ふらつくなどの症状が見られ、症状が進行すると虚脱や失神、痙攣を起こします。
熱中症対策を日頃から心がけ、発症した場合は早期治療が重要です。
猫伝染性腹膜炎(FIP)
コロナウィルスの一種である猫伝染性腹膜炎ウィルスに引き起こされるとされており、ほとんどの猫では感染しても発症しませんが、一部の猫においてウィルスの突然変異が起き発症します。
ウェットタイプとドライタイプに分類され、症状は、食欲低下、元気消失、発熱、嘔吐、下痢の他、ウェットタイプでは腹水や胸水の貯留、呼吸困難を起こし、ドライタイプでは麻痺や痙攣など神経症状を起こします。
まだ解明されていないことが多いこの病気は子猫、老猫、免疫力が低下した猫に多く、完治が難しく、ワクチンも存在しません。
中毒
原因となる中毒物質によって症状は様々ですが、農薬や殺虫剤、殺鼠剤、観葉植物などによる中毒はよだれ、痙攣など神経症状を起こすことがあります。誤食した可能性がないか猫の周辺や行動範囲をよく確認してください。
この他にも外傷や交通事故、肝臓疾患など痙攣を起こす原因は様々です。
まとめ
痙攣を起こした時は、慌てずに落ち着いて、いつから、どれくらいの時間、どんな発作を起こし、発作後の様子と、発作前の様子はどうだったのかなど、冷静に状況を把握することがとても大切です。