猫は、人間と違って体の構造上、吐きやすい性質をしているので、日頃から吐く行為を見ることはそうめずらしくはないかもしれません。
今回は、猫の嘔吐について、「様子を見ていいの?」「病院に連れていった方がいい?」そんなよくある質問についてお答えできればと思います。
嘔吐の回数
単発で1回だけ吐いて、その後はケロッとしてご飯を食べたりしているのであれば、さほど問題はありません。
空腹時などに胃酸過多になり吐いてしまう時はご飯の間隔を短くしたり、寝る前にフードを数粒与えるなど工夫してあげましょう。
季節の変わり目
毛がたくさん抜けるのでグルーミングによって胃の中に入った毛がうまく排出されずに毛玉を吐いたり、朝晩の温度差が激しかったりすると身体がついていけずに下痢嘔吐など消化器症状が出ることがあります。
その他にもアレルギーや寄生虫が原因で嘔吐することがありますので、フードの内容を見直したり、外に出る猫は定期的な糞便検査をおすすめします。
何度も吐く場合
生理的な嘔吐や軽い胃炎であれば、1日絶食すればたいていは落ち着きます。1日に何度も吐く、出血が混じるなどの症状がある場合は、病気を疑います。(食欲不振が数日続くと肝リピドーシスを起こすので長期の絶食は禁忌です)
考えられる原因
- 異物誤食
- ウィルス疾患、中毒症
- 消化器疾患、内臓疾患、自己免疫疾患
- ホルモン疾患
なかでもとても多いのがヒモやおもちゃ、ビニールなど異物の誤食です。好奇心旺盛な子猫などは特に、何でもおもちゃにするので、遊んでいるうちに飲み込んでしまうことがあります。
異物が胃の中にあれば内視鏡でとれることもありますが、腸まで流れてしまうと腸閉塞や腸重責を起こすことがあり、開腹手術が必要になります。
下痢や発熱、よだれ、痙攣などの症状を併発する場合は、ウィルス疾患や中毒の可能性があります。
人間にとっては問題がなくても、猫に害があるものでは玉ねぎ、チョコレートなどが有名ですが、その他にも人間の風邪薬や観葉植物、特にユリ科の植物は花瓶の水をなめたりするだけで中毒死することがあるので注意が必要です。
嘔吐以外に、痩せてくる、食欲にムラが出たり、下痢が続くなどの症状が出てくる時は消化器や臓器に問題がある場合があります。
なかでもシニア世代の猫の腎臓疾患はとても多く、15才以上の猫の30%が慢性腎臓病と言われています。腎臓は75%以上の機能が阻害されてからでないと血液検査で異常は見つかりません。
早期発見には尿検査やエコー検査が有効です。
猫にも甲状腺機能亢進症(バセドウ病)があります。
中高齢の猫に多いこの病気は、食欲が旺盛で活発になるので病気だと気づかない飼い主さんがとても多く、たくさん食べているのに痩せてくる、怒りっぽくなる、多飲多尿などの症状がでます。
まとめ
このように、一言で嘔吐といっても様々な病気が隠れていることがあります。
いつ、どのタイミングで、どれくらい、どんなものを吐いたのか?いつもと違う症状はありませんか?気が付いた時には病気が進行してしまっていた、という事にならないように日頃から病気のサインを見逃さないであげてくださいね。